すみません……。わたしはこの表紙を見ても、受が外国人だとはつゆ思いませんでした。

老舗旅館の出来のいい跡取り息子攻×日本に留学中のアメリカ人で押し掛け女将志願受。

と、いうよりも、この本は攻を追って老舗旅館で女将修行を始めた受と、それを追い出そうとする攻の父の、立て板に水の如くの舌戦バトルを楽しむのが主眼。
正直、ラブは薄いというか付け足しでしかない……。

先に読んだ「美男の達人」もそうだけど、ホントにラブで読ませる作家じゃないよな。でも、いずれも怒涛のように話し続ける会話のテンポはとても面白いので、ぜひ書き続けてほしいものです。
図書室司書として働く天涯孤独な江上喬には、ずっと心の支えにしてきた小説があった。その著者である君塚映司を、そうとは知らずに年上の友人として慕っていた喬は、ある夜、酔ったはずみで彼に抱かれてしまう。「初めて会ったときから、どんなことをしてもほしいと思った」――戸惑う喬に、これまでにない強引さで脅すように付き合うことを強要してくる君塚。やがて彼の真摯な優しさに身も心も惹かれるようになる喬だが、君塚の執着の秘密を知り――。


受が司書だというので読みました。
初めての作家さんでしたが、大当たりでした。
出だしの文章が、すでになにか光ってる。少々ブンガクっぽい、やや華美な表現ではあるものの、引き寄せられる印象的な始まりでした。
筋は、少し読み進めるとだいたい予想の付く王道パターンなのですが、王道ゆえに、王道な展開の部分は下手に引きずらずさらっと種明かしをして、それよりもそういう状況に陥ったときの気持ちを丁寧に書き込んでいるので、下手に書けばクサイだけのシーンにじーんとしてしまう。実力のある作家さんなのでしょう。

さらに、作者は図書館現場を知っている人じゃないかと思うくらい、ツボを心得た設定で感激。PFIで建てた図書館です(という表現ではないけれど)、なんてよほど勉強したか現場の人じゃないと書けないんじゃないか。図書館業務の中でレファレンスを重視してくれているので好感度大。図書館員募集情報サイトに至っては、いっとき自分もよくそこを覗いていたので爆笑してしまいました。
BLでなければ図書館好きの上司に読ませたい(笑)。

舌の根も乾かないうちからBL。どこが飽きてきたというのか。>自分

小さなカフェ「ルフージュ」で働く新(あらた)は、オトコ殺しの笑顔の持ち主だが、中身はハバネロ級の毒舌家。近くに建つ高層ビルの最上階に住む実業家・眞宮は、精悍な男前なのに好きな人には心と逆の態度を取ってしまう天の邪鬼。
そんな二人が偶然出会い、新は眞宮に正体を隠して、毎日食事を届けることに!
会えば喧嘩の意地っ張り同士だけど、顔も見えない夜のキッチンの暗闇では、なぜか素直になれて…。(ノベルス裏書きより)


やり手の会社社長だけど少年のように恋に不器用攻×毒舌だけど心根は親切だとみんなにバレバレ仕事のできるカフェのマネジャー受。

こんな二人なので、二人とも自覚のあるゲイだし出会ったその日から一目ぼれしているくせに、不器用で誤解を招きやすい言葉と毒舌との応酬で、出来上がるまでにノベルス1冊かかってるよ!(褒めてる)
しかも、先代の時代から続いている美老年秘書が社長に付いていなかったら、この二人まったく進展しなかっただろうよ!!
や、この秘書がとてもいい味を出していて、発表された時期的にも映画「バットマン・ビギンズ」とは無関係のはずなのに(最初にノベルスが発行されたのは2005年4月。映画は2005年6月公開)、彼を想定して読むとぴったりはまります。

まあでも、いくら「顔の見えない夜のキッチン」だってキスできるくらいに顔を近寄せれば知ってる顔にはピンとくるだろうし、声を出すと自分の正体がばれるからといって、手のひらに文字を書いてコミュニケーションをとるのに、あの長台詞はないだろうと思ったり、ご都合な部分が無きにしも非ずなのですが、そのBLファンタジーがいいスパイスになっているので、無問題。

そこに目をつぶれば、ベテランの著者らしく二人がなかなか一筋縄では出来上がらないイベントを次から次へと繰り出して、長さを感じさせません。
とても満足のいく1冊でした。
ようやくBL熱も落ち着いてきました。
今週読んだのは以下の2点。

岩本薫「月夜ばかりじゃないぜ」ルチル文庫
榊花月「奇跡のラブストーリー」ディアプラス文庫


「月夜~」は、ヤクザの若頭×組長の息子。無謀な行動に出て窮地に陥ると攻めの助けを期待してしまう受はいかがなものかと思わなくもなかったものの、息子がなかなか男らしくてよかった。

「奇跡の~」は変わり者の作家×もともと作品のファンだった編集者。作家の変人っぷりとか、作家と編集者の作品に対する想いの応酬とか、らぶ以外の部分が意外と面白く、というかそちらの面白さに比較するとラブ部分があっさり納まってしまって物足りない。
この作者なら、もっとどろどろの怨念じみた(褒めてます)ラブが書けるはずなのに!
それと、以前は抱腹絶倒だったあとがきが、すっかり普通になってしまっていてチト寂しい……。

見たい映画はたくさんあるのに、まとまった時間が取れないので見に行けません。
DMCとおくりびとは必見?……おっと、気が付くと邦画ばかりではないか。
相変わらずすごい勢いでBL小説もしくは本を読み漁っている自分に嫌気が差しました。
なので、休みの間に読んだ本を名前だけ。

夜光花「堕ちる花」大洋図書SHYノベルス

杉原理生「37℃」大洋図書SHYノベルス


図らずもどちらもSHYノベルス。どちらもおもしろかったです。
夜光花さんの本は初めて手に取ったのですが、エピローグの落ちがなかなか効いてます。因習もの、と思わせておいて……というサスペンス要素はなかなか読ませます。ただ、たくさん人が死んでしまうのと、半分血のつながった兄×弟なので、兄弟もの苦手な方には地雷かも。兄弟ものにしては、兄ばかりが禁忌に悩んでいて弟はあっさりしたものなので萌え半減?

杉原理生さんは、ずいぶん昔に1冊だけ読んで「合わないなぁ」と思ったのですが、これはよかったです。最後がすっきり問題解決しないままなので、爽快感には欠けますが、そもそも受けのあまりの煮え切らない態度に爽快感など初めからないし(笑<誉めてます)。


元ヤクザの居酒屋板前×元フレンチのシェフで居酒屋に住み込み修行中。
またまたおいしいBL。飲兵衛にはたまらない感じのおつまみが出てきます。
ラブのほうは、えーと、ツンデレ攻?(笑) デレ具合もわかりにくいところがくどくなくてよいです。

それにしても、そういうシーンの入れ方が上手いなぁ。
最初に風呂場で背中を流すシーンを入れておいて、中盤で1回、二人の雰囲気が変わったところで1回、アクションシーンを経て最後にお約束で1回。
読者を飽きさせず、それぞれ意味を持たせてタイミングよくシーンを挿入するのが不自然でなく。職人技です。
久しぶりの月村けい。あんまり久しぶりすぎて「けい(大の下に圭)」の字の出し方を忘れました(汗)。

この人の、「自分に自信のない美人な若い子受×受を導くオトナな攻」という基本パターンは崩れていませんでした(笑)。
年の差カプは大好きです。
でも、今回の受けの後ろ向き加減は、思わず自分の現在の境遇と照らし合わせてチト痛かった……。

そして、お菓子職人攻の作る焼き菓子のおいしそうなこと!
青柚子のサブレ、わたしも食べたいです~。
淑女の皆さん、ごきげんよう。美男塾塾頭の箭内です。
美男塾――それはイケメン養成所もしくはモテない男救済機関。
「すべての男性に素敵な恋を!」と、日々悩める子羊を導いているわけですが、このたび少し面白いことが起こりました。
一見モテるはずの爽やか好青年(郵便局勤務)が説明会を経て入塾したのですが、どうやらうちの講師に一目惚れしたらしく、しかもその相手があの猫かぶり!
当塾の有用性が実証される瞬間です、ぜひその目でお確かめください!(文庫裏書より)


BL友達が褒めてたので読んでみました。

BLの間口の広さをかみ締めたラブコメでした♪
BLなのにラブの部分はほんのちょっぴりで、記述のほとんどは美男塾の講義の描写。しかもこれがまた立て板に水のごとく女性の心理を微に入り細に亘り具体的(且つ少々お下品)な例示をあげつらって説明してくれるので、いちいちニヤニヤしながら楽しく読めます。

ま、その分あまりにラブ描写が少ないのでそちらを楽しみにしていると作者があとがきで言っているごとく「この二人、ほんとにくっつくのか……?」と不安に駆られてきますが、ちゃんと最後にはいい感じになりますし、わたしの大好物のへたれ攻×クールビューティ女王様受なので、もう大満足でございます。

うう、ラブがなければ身近な男性に読ませてぜひ感想を聞きたいところだ……。
でたー!! フィギュアスケートBL。
しかも春原いずみと須賀邦彦のコンビ。耽美だなぁと思いながら手に取りました。

春原いずみはずいぶん前に何冊か読んでいて、私の中では松岡なつきに次ぐ、いろんなジャンルの話をとことん調べつくして書く作家というポジション。
あとがきによるともう長年フィギュアのファンだそうですが、この話もフィギュアの薀蓄をこれでもかと注ぎ込んで書いてありました。しかも、最近フィギュアにはまった私が読むと、聞き覚えのあるエピソードがあちこちにちりばめられていて、Jベール?っていうかJョニー?と思ったらA藤M姫か!というような感じでニヤニヤしながら読みました。

ディテールが凝っている分、肝心のBL部分はちょっと懐かしい感じの王道パターンで、なんだかこそばゆくてやっぱり笑ってしまいました。
高校中退、誰もが不細工という容姿、ヤク中で前科3犯で刑期を終えて出てきたら家族からも友人からも絶縁され、自殺しようとしたモモを止めた警察官を、八つ当たりで強姦する。でも、そのまま警察官に惚れてしまったモモを、警察官のロンちゃんもロンちゃんなりの理由で愛するようになる。
という、らぶらぶなばかっプルのお話。

普通、木原音瀬が「薔薇色の人生」なんてタイトルの話を書いたら、どれだけ悲惨な話なんだろうと身構えますよね(断言/笑)。
まあ、もちろんモモのダメダメさ加減も境遇も人生最底辺なんですが、それでも大切な人と終始一貫相思相愛なので、非常に後味のよい、ある意味木原音瀬らしからぬ作品でした。

この本と「隣りの」を読んで、男らしい受が萌えるなぁと思った次第。
続けて読了。
血の繋がらない義兄に子どもの頃から虐待されつづけてきた受が、虐待の一環として受を襲うように雇われた男娼と恋に落ちる話。

BLファンタジーの法則としては、ホモフォビアでもある虐待する義兄は受に内心懸想しているのがデフォだと思い、そうでなくともなにかしら虐待に理由があるのかと思って読んでいたら、ホントにただのろくでなしだったことが判明。
そこの処理がいまいち自分の中で納まり悪いかと思うものの、受の心理もきちんと描写されているし、攻の受の心を開かせるテクニックも、説得するテクニックも非常に上手くて、2人の関係は大満足でした。

この話は、同じ会員制クラブ従業員(……従業員って言わないか?)を主人公にした前作があるようで、ネットで見るとそちらも評価が高いようなので、次はそれを読もうと思う。

でも、しばらくBLから離れていたので、最近の読むべきBLが分からない……。神保町書泉BMの4階で途方にくれてました(苦笑)。
だれかお薦めを指南してくださいませ〜。
実を言うと大変久しぶりのBL小説でした。
しばらく、人様の書かれた文章を読むのが辛くて、翻訳物ならまだ大丈夫でも和物は……で、さらにBLとなるとどうにもこうにも。
いま過去ログを遡ってみたら、最後に読んだのは昨年の9月でした。6月から「硝子の街にて」
シリーズを読んでいたので。さらにその前1年間で読んだのは3,4冊。一時期と比べたら格段に量が落ちてます。

でも、うっかり神保町のおたく御用達書店に立ち寄って、ノベルス3冊一気にご購入してまいりました。カ・イ・カ・ン♪
心が疲れているのかしら、わたし……。

そして、昨晩帰宅してからついつい読み始めたら、あっという間に上下巻一気読みしてしまいました。
ああ〜満たされる〜(笑)。

BLカテゴリは結論が分かっているからこそ、焦らしに焦らしまくってくれる木原音瀬は面白いんだよなぁ。特にこれは、わたしの好きな普通のリーマンsのほのぼのらぶらぶ話でしたので、余計にのめり込んだというか。(木原音瀬は「恋愛時間」から入った人間です。)
「普通のリーマン」と書きましたが、人間的には「かろうじて普通」というか、普通からちょっとずれた鈍くささとか、身勝手さとか、固執体質とか、そういう描写がリアリティを与えているのだと思います。
そう、現実世界には純粋に「普通」な人などいません。ホントの「平均的」な人間もいません。生身の人間は誰もがそれぞれ個性的でちょっとずつヘンで、それらの「平均」なんてイメージのなかにしかいない想像の存在だということを、木原音瀬の描く人物たちに気づかされるのでしょう。

ていうかそれより何より髭受け! 以前RPSで髭受け書いてからまったく抵抗なくなりました。むしろどんと来い(笑)。

でも、彼らの会社に労働組合はないのか?という疑問はちょっぴり引っかかったけどね(笑)。
いや、その前にいくら女装がカンペキでも誰かが疑ったりしないのか?! という疑問はBLというファンタジー世界においては無問題。

ちなみに、3冊大人買いのもう1冊は、ここからリンク貼らせていただいている秋林瑞佳さんが最近感想を書かれていた榎田尤利です。
タイトルにアルファベットがついていることで知られるアルファベットシリーズ。第1弾は『アリバイのA』。
「わたしの名前はキンジー・ミルホーン。カリフォルニア州でのライセンスを持った私立探偵である」と始まる自己紹介文が「おとといある人物を殺害し、その事実がいまも胸に重くのしかかっている」と続く。私立探偵が殺人? 意表をつく語り出しに、のっけから強烈に引き込まれる。

事件は、夫殺しの罪の刑期を終えて出所したばかりの妻ニッキ・ファイフの「真犯人を見つけてほしい」という依頼から始まる。殺されたローレンス・ファイフは女性関係が派手で女たちの恨みを買っていたという。すぐさまあぶり出されたのは、事件の裏に隠されていたもう1つの殺人事件。ローレンスの死の直後に1人の女が同じ手口で殺されていた。ローレンスと女は恋愛関係にあったのか。8年もの歳月に封印されていた事件の真相を追ってキンジーが動きだす。1つ1つ積み重ねられた証言をもとにキンジーの推理が真犯人を追い詰めていく。そこへ新たな殺人が…。

「私立探偵業は、わたしの生活のすべて」と言い切るキンジーは32歳独身。2度の離婚歴あり。私立探偵という危険な職業にもかかわらず、彼女はあくまでもしなやかである。とりたてて才気走ったところもなく、むしろ淡々と仕事をこなし、いたって平凡な女性に見える。拳銃さばきも自然で、女性が私立探偵をしているということを物語は強調しすぎない。1982年の作品にして、女性の社会進出などという課題はすんなり乗り越えられてしまっているところが、かえって心強い。強固なキャラクターに縛られないつくりは読者を選ばず、誰もが違和感なく入り込める推理劇となっている。(木村朗子)

内容(「BOOK」データベースより)
わたしのオフィスを訪ねてきたのは、8年間の刑務所暮らしを終えたばかりの女だった。彼女ニッキは有能な弁護士である夫を毒殺した科で有罪を宣告されたのだが、わが身の潔白をなんとしても証明したいというのだ。興味をおぼえ、いま一度当時の事件の洗い直しを始めたわたしは、そこで意外な事実に気づいた。事件に関連のある事務所で働いていた若い女性会計士が同時期に同じ毒薬を飲んで死亡していたのだ―年齢32歳、離婚歴2回、南カリフォルニアのサンタ・テレサに事務所をかまえる女探偵キンジー・ミルホーン登場!新シリーズ第1弾!


http://www.amazon.co.jp/dp/4150763518
アメリカ西海岸のタフな女私立探偵・キンジー・ミルホーンのシリーズ。
今回は、キンジーが恋をする。

……そんなキンジーはキンジーじゃない!
スカートはいてるキンジーなんて!!

でも面白かったです♪
獲物のQ (ハヤカワ・ミステリ文庫) (文庫)
スー グラフトン (著), Sue Grafton (原著), 嵯峨 静江 (翻訳)
早川書房 (2006/01),ISBN-10: 4150763674,ISBN-13: 978-4150763671,2006/01

http://www.amazon.co.jp/dp/4150763674/

今回の原題は「"Q" is for quarry」。quarryってなんだったかな?と思って読了後に英辞郎くんに聞いてみた。

1. 採石場{さいせき じょう}、石切り場{いしきりば}、四角い石、種本{たねほん}
2.獲物{えもの}、追求物{ついきゅうぶつ}
3.ダイヤモンド型[ひし形・四角形{しかくけい}](のガラス窓)

うわっ。そんな意味まであったんだ! ネタばれかもしれませんが、この3つがすべて本作に関わってます。びっくりだ。
博士の愛した数式 (新潮文庫) (文庫),小川 洋子 (著) ,新潮社 (2005/11/26)

http://www.amazon.co.jp/dp/4101215235/
危険のP (ハヤカワ・ミステリ文庫) ,スー・グラフトン (著), 嵯峨 静江 (翻訳) ,早川書房 (2005/5/10)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150763666/
待ってました!のファルコシリーズ最新刊。
今回は、「日報」記者の失踪人探し。どうして残された同僚たちがファルコに依頼してまで失踪人を探し出そうとするのかがいまいち不明で、ゆえになかなか話に乗れなかったのだけれど、失踪人の唯一の身内である伯母の家(失踪人がここを尋ねに行くと言い残して失踪)を突き止めた辺りから面白くなってきて、最後はノンストップで読み通しました。

でも、帯の惹句「船上から突き落とされたおれは、まったく泳げない…… ファルコ、最大のピンチ!」にワクワクしていたわりに、海に落っこちたファルコはあんまり焦ってない。今までで一番緊張して怖かったのは、井戸に落っこちた子どもを助けるところだな。(あれ何巻のエピソードだったっけ)
たまたま、アメリカで昨年子どもに一番読まれた本のアンケート結果を見ることがあった。

http://www.renlearn.com/whatkidsarereading/ReadingHabits.pdf

ハリー・ポッター人気は相変わらずなもののひとまず落ち着いているようす。その他、レモニー・スニケットとかスパイダーウィックとかシャーロットの贈り物とかテラビシアに架ける橋とか、映画になったような本がよく読まれている模様。
その中で気になったのが、Louis Sacher モHallモ。調べてみたら講談社文庫にも入っているようで、密林のレビューでも評判がいいのでそのままお取り寄せをした。

今朝、通勤電車で夢中になって読んでいて乗り過ごした(大汗)。

いやぁ、すごく面白かった! 「無実の罪で少年更正施設に送り込まれた主人公が、毎日穴を掘らされる話」なんて、不条理ものかと思って敬遠していたけれど全然そんなこともなく。ところどころに挿入される、主人公のご先祖の話がどんどんカチカチと本筋の話にはまっていって、わくわくするしすごく気持ちがいい。

同じ作者の作品がいくつか邦訳されているので一通り読んでみるつもり。
高橋克彦の浮世絵三部作最終巻。
初読のときにもぼろ泣きしたが、今回も通勤電車の中でウルッと来ました。
主人公の津田くんのけなげさ、哀れさに……。

そして、当時は「なんだコイツ」と思っていた塔馬先生が、今回はそれほど気になりませんでした。昔は、いかにもキャラ的な派手な名前で誰もが感心する天才学者で、しかもこれまでの主役を食う勢いで、最後には主役を乗っ取るなんて……と感じていたのです。
でも実はこの二人、津田くんは浮世絵師に纏わる歴史の謎を解く役で、塔馬先生は浮世絵の贋作に関わる現代の人の心理を解く役、ときちんと役割分担と、それに見合った性格付けが与えられていて、いいコンビ(というには一緒に行動していませんが)だったんですね。
お互い好きすぎるくらい尊敬しあってるし……。<わたしが言っているからと言って、深い意味はありません。

さらに読み返して驚いたこと。
主人公の津田くんが痩せていたこと(汗)。
どうやらいつの間にか、著者のビジュアルが刷り込まれていたらしい(大汗)。

それにしてもやはりとても面白いミステリでした。
歴史ミステリ好きにはたまりません。

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