猫だまりの日々 猫小説アンソロジー
2018年5月11日 読書記録第6紀(13.08~)YA(BL含む)女性作家5人による、猫をテーマにしたアンソロジー。
かなり力量に差が出たなぁというのが読後の印象。
猫をテーマにすると、どうしても猫に人間語を話させないと話が進まないし、そうするとある種のファンタジーとしてしか成立しない。短編の中でファンタジーの法則を読者に理解させ、さらにオチをつけるのは相当の力技が必要なのかもしれない。
(この後、猫ミステリアンソロジーと猫SFアンソロジーを読む予定で、それらを読むとこの認識は変化するかもしれない。)
そんな中で、技あり、と思ったのは谷瑞恵と一穂ミチ。実はどちらも初めて読む作家さんでしたが、谷瑞恵は●●ミステリ(これを言うとネタバレになるので伏せ字)であり、かつ主人公が過去を乗り越える成長も描いており傑作。
一穂ミチも、不慮の事故で亡くなった主人公の男性が猫に転生して残された妻に拾われる、という物語でありながら実はミステリ要素もあり、しかもネットのネコ好きコミュニティで流布している都市伝説「猫は一生に一度だけ人間語を話す」(これは「NNNからの使者」のNNN(都市伝説というよりネットジョーク)とは違い、どちらかといえば伝説に近い)を上手く使っており、座布団10枚もの。
上記2作の冴えには一歩譲るけれど、さすがの真堂樹もネタはありがちながらきちんと作品として成立させていた。
残りの2作はあいにく私の好みではなかったけれど、短編は、いいネタを思いつくかどうかが勝負であり、今回のようにテーマが初めに決められていて締切までに書き上げなければいけない場合、ネタが降りてこないとツラい、というのはあるだろうし、下手に猫が好きだとそこに引きずられてしまって短編小説としてのおもしろさを深掘りしきれない、ということはあるのだろうなぁと思いました。
とくに椹野道流は、長編で読みたい世界観でした。
仕事を失くした青年と、そんな青年の願いを叶えるべく彼のもとを訪れてきた猫との心温まる交流(椹野道流「ハケン飯友」)
かつて飼っていた猫に会えるというウワサがある、ちょっと不思議なホテルにまつわる物語(谷瑞恵「白い花のホテル」)
猫飼い放題をうたう町で出会った、猫があまり得意じゃない彼女と彼のせつない恋(真堂樹「猫町クロニクル」)
猫が集まる縁結びの神社で起きた、恋と友情をめぐるアレコレ(梨沙「縁切りにゃんこの縁結び」)
後に猫へと生まれ変わり、妻に飼われることになった男の生活(一穂ミチ「神さまはそない優しない」)
オレンジ文庫の人気作家陣が描く、どこかにあるかもしれない猫と誰かの日々。
全五編を収録。
https://www.amazon.co.jp/dp/4086801671/
かなり力量に差が出たなぁというのが読後の印象。
猫をテーマにすると、どうしても猫に人間語を話させないと話が進まないし、そうするとある種のファンタジーとしてしか成立しない。短編の中でファンタジーの法則を読者に理解させ、さらにオチをつけるのは相当の力技が必要なのかもしれない。
(この後、猫ミステリアンソロジーと猫SFアンソロジーを読む予定で、それらを読むとこの認識は変化するかもしれない。)
そんな中で、技あり、と思ったのは谷瑞恵と一穂ミチ。実はどちらも初めて読む作家さんでしたが、谷瑞恵は●●ミステリ(これを言うとネタバレになるので伏せ字)であり、かつ主人公が過去を乗り越える成長も描いており傑作。
一穂ミチも、不慮の事故で亡くなった主人公の男性が猫に転生して残された妻に拾われる、という物語でありながら実はミステリ要素もあり、しかもネットのネコ好きコミュニティで流布している都市伝説「猫は一生に一度だけ人間語を話す」(これは「NNNからの使者」のNNN(都市伝説というよりネットジョーク)とは違い、どちらかといえば伝説に近い)を上手く使っており、座布団10枚もの。
上記2作の冴えには一歩譲るけれど、さすがの真堂樹もネタはありがちながらきちんと作品として成立させていた。
残りの2作はあいにく私の好みではなかったけれど、短編は、いいネタを思いつくかどうかが勝負であり、今回のようにテーマが初めに決められていて締切までに書き上げなければいけない場合、ネタが降りてこないとツラい、というのはあるだろうし、下手に猫が好きだとそこに引きずられてしまって短編小説としてのおもしろさを深掘りしきれない、ということはあるのだろうなぁと思いました。
とくに椹野道流は、長編で読みたい世界観でした。
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