警視庁生活安全部生活環境課環境第三係――絶滅のおそれのある動植物の密輸・売買事件の捜査をする、この係を人はこう呼ぶ――「警視庁の生きものがかり」!

警視庁にそんな部署あったのか!?
はい、本当にあるんです!

「カメもサルもワニもレッサーパンダだってオレが守る!」
「動物愛」なら誰にも負けない、この男が本物の
「警視庁の生きものがかり」!

「愛」あればこそ、仕事に燃える「生きものがかり」の大活躍を描く、
笑いあり、怒りあり、涙もちょっぴりありの感動必至のノンフィクション!
https://www.amazon.co.jp/dp/4062206838/


昨年夏に放送されたテレビドラマ「警視庁いきもの係」の原作はこちら(http://yogiribook.diarynote.jp/201708240027056166/)。
放送直前に、実際に警視庁で生きものに関する事案を扱う部署を立ち上げた方の手記が出版されました。
すぐに買ったものの手に取るのが後回しになってこんなタイミングに(汗)。

ドラマとの違いは、ドラマ(というか原作のミステリ)が扱うのが、ペットの動物を引き金に起こる殺人事件なのに対し、現実の「生きもの係」が扱うのは主にワシントン条約違反の希少動物の密輸事件であること。
ミステリにするにはやはり人が死なないと緊迫感はないし、被害者が死なないと犯人がすぐに分かってしまうから仕方がない。
でもやっぱり現実にそんな殺人事件がおこるわけではなくて、やはり密輸事件が一番多いのでしょうね。
事件に気づくところから、捜査の過程、逮捕に至るまで、どう考えてどう追い詰めていったかが丁寧に描写されていて、警察用語も解説付きで出てきてとても面白かった。検察にはねられず、裁判で有罪が取れるようにどうやって証拠を固めるか、といったあたり興味深かったです。

いっぽう、この話は警察に限らず、新しいビジネスを立ち上げる事例としても面白く読めました。
例えば、著者が警察官になったすぐの頃、上司から
「十八番をつくれ!」
と言われたという話、私も新人のころに先輩に言われたものなぁ。著者はもともと動物が好きで、趣味で魚や爬虫類を飼っていて、たまたま覗いた熱帯魚店で展示・販売が禁止されている生物を見つけたことがきっかけで立件し、これが自分の得意分野だ、と思い定めて
庁内で生きもの事案を1件扱うとそういう事案はその人に集まってくるし、そのことでからかわれたりもしたらしいけれど、続けることで専門家として1部署立ち上げることに繋がった、なんて、どこの会社でもどんな(オタク)社員でも参考になるはず。
他にも、外部の専門家とのパイプを作るところとか、情報はたくさん出すとそれだけ集まるところとか、自分が仕事でやってきたことと通じる部分がたくさんあって、ビジネス書としても強く推したい。

文章は、拙いわりに読みやすく、文章を書くのがたまたま上手い人だったのか、ゴーストライターが入っているのか考えながら読みましたが、あとがきに「約1年にわたり取材していただいた●●さん」と謝辞があったので、やっぱりライターが入っているらしい。こうも自然に「普段あまり文章を書きなれていない感じ」にまとめられるなんて、けっこうライターさんの力量にも感心しました(笑)。

希少動物の生態などもイラスト付きで紹介されていて、1冊で3度おいしいおススメの本です。

コメント

天照大神
2018年4月23日23:14

ありがとうございますw

夜霧のネオンサイン
2018年4月26日22:55

いえいえ。明日は我が身……

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索