場末の酒場で射殺事件発生。現場から、顔に傷のある男と地元の会社経営者ジョーディが姿をくらました。捜査の結果、死んだ男は殺し屋だったことが判明。警察は、現場から消えた二人の行方を追う。一方、ジョーディは、顔に傷のある男に拘束され、緊迫の夜を過ごしていた。正体不明のこの男の目的は何なのか?ついに、決死の行動に出たジョーディだったが…。どんでん返し連発サスペンス!


一時期熱心に読んでいたサンドラ・ブラウンですが、発行元が新潮社から集英社に移ったころからなんとなく遠ざかっていました。
先日、以前から気になっていたコニー・ウィリス「ドゥームズデイ・ブック」下巻に入ったあたりでどうしても読み進められず挫折して、もうちょっと気楽に読める本を読みたいと、書店で眺めていたら久々に目に留まり、サンドラの新刊を手に取りました。
ちなにに本文560ページで1,200円。文庫本もだんだん値上がりしてくるなぁ。

サンドラ・ブラウンはいわゆるロマンス小説作家で、その中でも”ラブ・サスペンス”の第一人者と言っていいと思います。
ロマンス小説は、美男美女が出会ってから恋をして幸せになる、というフォーマットはとにかく崩せないため、どうやってバリエーションをつけるかで非常に腕を問われるジャンルだと思います。
そういう意味ではBL小説(およびマンガ)も同じ宿命を負っていますが、こちらはまず雑誌掲載ありきで、つまり1話の分量が非常に少なく、とするとほとんど出会ってすぐに恋に落ちてあっという間に体の関係に至らないとならず、ロマンス小説よりさらにハードルが上がります。まあ、それはさておき。

この話では、ヒーローはヒロインの殺害を請け負った殺し屋で、とするとまともに二人が出来上がったところで安定した生活ができるわけではなく、いったい作者はどこへ落とし込むつもりなんだろう、と探り探り読んでいましたが、分厚い本の半ばを過ぎて驚きの展開。
いえ、可能性として考えなくはなかったのですが、そこへ至るまでに読者には「それはちょっと難しい展開では…?」と思わせる描写を盛りだくさんに盛り込んでおいて、手のひらを返してみせる。思わず心の中で「サンドラ~、やられたよ;;;」と嘆きました。

物語の後半は、ヒロインを殺そうとする裏社会の犯罪者と、その犯罪者の不利な情報を持っているヒロインの弟とヒロインを守ろうとするFBIとヒーローの四つ巴の攻防になだれ込むのですが、その中で明かされる犯罪者の正体もなかなか予想外でした。

物語が複雑で、ヒロインもヒーローも大規模詐欺を行った犯罪者とその部下だった弟も嘘をつきまくりで、(冷静に考えると無理のある展開もあるのでしょうが)(少なくとも、潜伏中にいたしちゃうヒーローとヒロインの展開は無理がありすぎるのですが/汗)原題の「STING」そのままの物語でしたね~。とても面白かった! 後半は一気読みでした。

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