小鳥を愛した容疑者
2017年8月23日 読書記録第6紀(13.08~)銃撃を受けて負傷した警視庁捜査一課の鬼警部補・須藤友三は、リハビリも兼ねて、容疑者のペットを保護する警視庁総務部総務課“動植物管理係”に配属された。そして、そこでコンビを組むことになったのが、新米巡査の薄圭子。人間よりも動物を愛する薄巡査が、現場に残されたペットから名推理を披露。難事件を解決する!
放送中のドラマ「警視庁いきもの係」の原作第1巻。
原作の方のシリーズ名は「警視庁総務部動植物管理係」でしたが、ドラマ化に合わせたのか今年に入って刊行された第4巻と、2巻以降の文庫版ではシリーズ名が「警視庁いきもの係」とついている。ちなみに第1巻にはまだシリーズ名がついていません。
さらに言うとドラマ化を受けて関連書として企画が通ったのか、現実の警視庁で動植物を担当する部署のOBが執筆した「警視庁生きものがかり」という本が今月刊行され、カオスな様相を示しています。
(原作を読もうと思って検索して混乱した…)
第1巻には短編4本収録。動物のスペシャリストだがやや常識に問題のある探偵役(薄巡査)と、刑事としてはスペシャリストだが動物に関しては素人のワトソン役(須藤警部補)の掛け合いでクスリとさせるライトミステリ。
現実には存在しなかった特殊部署を作ることでフィクション度が高まるのでちょっと無理めな捜査や推理も受け入れられる。まあ、内心ツッコミ入れつつ楽しく読めました。
なお、ドラマ版は多少設定を変えていて、特に原作では捜査一課で須藤のよきライバルだった石松警部補を、ドラマでは須藤の元相棒で須藤を敬愛している15歳下のイケメンに設定したことで萌え度が跳ね上がっているところは、純粋に上手い改変だと思うよ! その手の「腐女子はこういうの好きだよね」系改変には鼻が利いて避けるほうだった私がこうして引っ掛かったのだから!!
原作の須藤と石松の、悪口を言い合うよきライバルって関係もおいしいですが、すると須藤から薄へ育まれる好意が男女のそれっぽく感じられる。それはそれで王道ですが、ドラマ版だと薄役の橋本環奈にまだそういう色がつくのは避けるためか、どちらかというと父が娘に対する好意的に描かれていて、そういうのも長く続けるドラマとしてはよい改変かと思います。とすると余計に、須藤の横にイケメン石松を置くのは(疑似恋愛関係を石松側に向けられるので)よいと思うのです。
……そんな分かりやすいエサには釣られないけどね!(負け惜しみ)
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