国境という現場から―国連職員として難民支援に携わった日々
2017年6月28日 読書記録第6紀(13.08~)憧れから志望したUNHCRで
私は新しい人生の第一歩を踏み出した---
フィリピン、ミャンマー、タイ 東南アジアのフィールドを巡った体験記
アメリカの大学で応用人類学を学んだ女性が、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の職員になって、フィリピンのベトナム難民キャンプ、ミャンマーからバングラデッシュへ逃れて戻された人々のキャンプ、ミャンマーからタイへ逃れてきた人たちのキャンプでの経験をつづったエッセー。
と、聞くと熱い志と正義感とか、現場で目にする難民たちの悲惨な生活、みたいな重苦しい内容かと身構えますが、実際は、あまり文章を書きなれていない人ががんばって書いた(けれどさほど肩肘張らない)見聞録。
実際は大変だったろうエピソードをさらっと書いているので読みやすく、けれど見聞きしたことがヘビーなのでなかなか面白い。
(ミャンマーからの難民の「ドライ・ベイビー」の話は驚いた。)
おそらく、本当に育ちがよくてボランタリーな人って、街角の募金箱に小銭を入れるのと同じ感覚でまったく気負わずに難民支援に行けちゃうんだろう。
ただ、逆に、そこにあまり深い葛藤がないのか、あるけどそれを言語化することがないのか、本の中にその辺りが出てこないのがやや残念。
また、難民支援活動は終わりがないものなので、このエッセーもヤマとかキリとかといった盛り上がりとかカタルシスとかがないので、そこも物足りない読後感の理由かしら、と思います。
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