ニューヨーク、ブルックリンの書店を大叔母から相続した、三十代半ばのダーラ。堂々と書棚を徘徊し、緑色の目で冷たく客を睥睨する黒猫ハムレットが店のマスコットだ。ある日、ダーラは近所の工事現場で常連客の死体を発見してしまう。その脇には動物の足跡が。最近、夜に外を出歩いているらしいハムレットのも のなのか? 名探偵猫ハムレット登場の、コージー・ミステリ第一弾。
公式サイト>http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488286026


ふらりと入ったブックoffで目についたこちらを購入。前評判も何も知らずに読み始めたけれど、恋愛ものとしてもコージーとしてもミステリとしても今一つ。
まず前提として、この本はシリーズ第1弾として刊行されているけれど原書では2巻目に当たるので、原書1巻目の内容が、ネタバレはないにせよある程度前提として出てくる。それ自体は構わないのだけれど、もしかすると1巻目はコージーとしてもミステリとしても恋愛ものとしても面白かったのではないかしら、と思わされるところがあった。
というのも、恋愛ものとしては、おそらくシリーズ通してのヒーローになりそうな刑事が登場するのが100ページを越えてからで、その前に、ヒロインが淡い好意を寄せている別の男性が登場しているから。シリーズの骨格を示す意味でも、ヒーローはなるべく早く、それも最初に登場しないと読者が間違った人物に感情移入してしまうと、後から本来のヒーローが登場してもなかなか意識を変えづらい、下手をすると浮気をしているような気分になってしまうから。もしかすると原書1巻ではそこはきちんと書かれていたのかもしれない。
コージーとしては、おいしそうな食べ物は出てこないし、一応ブラウンストーンというブルックリンの歴史あるおしゃれ建築様式の住宅を書店にしているようなのだけれど、そこがどんなに素敵な住まいなのかが伝わってこない。もしかするとアメリカでは、ブラウンストーンというだけで日本でいう古民家を改装したカフェ、くらいのおしゃれ感が漂うのかもしれないけれど、まだそこまで日本でブラウンストーンって浸透していないのではないかしら。その他にコージー要素として必要なものって何かしら? ちょっと思いつかないけれど、衣食住でいったらファッション? とにかくその辺りの、ヒロインの生活が気持ちいい感じでないとコージーとは言えないのでは(持論)。
さらにミステリとしては、「猫が推理する」部分があまりに偶然というか勘だのみというかファンタジーすぎるというか。猫が人語を話して推理するミステリは個人的に論外なのですが、シャム猫ココのシリーズくらいさりげないヒントを出すくらいで、後は主人公が推理しないと納得感が薄い……。もしくは、お菓子探偵ハンナのシリーズの猫のように、推理にはまったく関与しないとか。
とはいえ、最近の猫ブームだかネコノミクスだかに乗ったのか、原書第1巻(邦訳第2弾)ももうすぐ刊行予定らしいので、そちらを読んでみてから、読み続けるかどうかを判断します。

うーん、書店と猫、好きな要素が2つ入っていたのになぁ。

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