浅田真央がフリーの演技を終えて、一瞬堪えきれないように顔をゆがめたとき、私は2年前の国体の今井遥を思い出した。

彼女はそのシーズンの全日本で、SPで大崩れして、FPで巻き返したものの14位に終わった。
年明けの国体は東京開催で、代々木体育館でやっていて入場無料ということで、さらにはSPで織田信成がノーミス神演技をした、と聞いて、FPを見に行った。男女のFPが同日に行われていたので、女子もあわせて見たのだけれど、その日、今井遥はノーミスで滑りきって優勝した。(鈴木明子も出ていたけれど、調子が上がらず2位になった。)
私の席からはキスクラがよく見えなかったのだけれど、国体でノーミスをして、今井遥は号泣した、と後から報道で知った。
「どうしてこの演技を全日本でできなかったんだろう」
悔しくて、泣いたのだという。

だから浅田真央の涙も、「どうして昨日、こんな風にできなかったのだろう」という悔し涙かと思ったのだけれど、
後からインタビューで、思い描いたとおりの演技が出来た嬉し涙、というのを聞いて、やっぱり私の人を見る目はないな、と思った次第。


とはいえ、何かから開放されたようにきゅるんきゅるんと次々ジャンプを跳ぶ姿は心地よかった。
以前から、自分が目指す最高レベルの演技をすれば金メダルは付いてくる、というような表現で「メダルを目指す」と公言するのを避けていたのを聞いて、
「ジャンプ構成を下げてノーミスにすれば金メダルが取れそうなとき、この人はどちらを選ぶのだろう」
と考えていたけれど、けっきょくそれが分かる機会はなくなったものの、最高レベルの演技が見られたのは、われわれにとってはある意味シアワセだったのかもしれない。

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