鑑定士と顔のない依頼人
2014年1月20日 映画鑑賞記録第3紀(09.02~) コメント (2)「ニュー・シネマ・パラダイス」「海の上のピアニスト」の名匠ジュゼッペ・トルナトーレ監督が、ジェフリー・ラッシュを主演に迎えて描くミステリー。天才的な審美眼を誇る鑑定士バージル・オドマンは、資産家の両親が残した絵画や家具を査定してほしいという依頼を受け、ある屋敷にやってくる。しかし、依頼人の女性クレアは屋敷内のどこかにある隠し部屋にこもったまま姿を現さない。その場所を突き止めたバージルは我慢できずに部屋をのぞき見し、クレアの美しさに心を奪われる。さらにバージルは、美術品の中に歴史的発見ともいえる美術品を見つけるが……。音楽はトルナトーレ作品常連のエンニオ・モリコーネ。イタリアのアカデミー賞と言われるダビッド・ディ・ドナテッロ賞で、作品賞、監督賞、音楽賞をはじめ6部門を受賞。
昨日の日曜の夕方以降にぽっかり時間が空いて、映画でも見に行こうかと思ったものの、ちょうどツイッターのタイムラインに流れてきた当日のトークイベントが仕事がらみで興味深かったので、急遽そちらに行くことにした。
が、会場に着いてから何かおかしい、とよくよく確認したら、ほぼ1か月勘違いしていたことが判明(来月だった)。
ショックでふらふらしながら帰る電車に乗って、でもせっかく東京まで出てきたのだから、初めの予定通り映画でも見て帰ろうと思い、もともと見たかった何本かの映画のうち、スマホでほとんど待たずに見られそうな映画を探して、これを見ることにした。
ネタばれせずに感想を述べることが非常に難しいので、ストーリーには触れずに感想を。
まずは、とても狭い世界の映画であるなぁということ。イタリアの街の景色もそうだろうし、主人公の環境的にもそうなのだろうけれど、つねに圧迫されるような狭い場所・空の見えない場所・夜の風景ばかりで、息苦しささえ感じた。
それと、邦題が映画のストーリーをミスリーディングさせている気がする。
原題は「The Best Offer」。最上の逸品、と、字幕ではクォーテーションマークつきで訳されていた。それは、主人公が集めていた女性の肖像画を指す暗号であって、それはさらに謎の依頼人も暗示している。けれども、同時にその暗号で結ばれた主人公とその友人の関係も喚起させる。
けれど、邦題だとその主人公と友人との関係が消え、主人公と依頼人との関係、しかも依頼人の正体(顔)が最大の謎のような印象を抱いていたから、映画半ばで依頼人が姿を現してしまったところで、見ているほうとしてはそれから何を手がかりに映画を読み解けばいいのか、途方に暮れてしまった。
それに、まあこれは私の見方が雑なだけだけれど、友人のことはあまり深く気にしていなかったし。
原題をそのままカタカナ書きにした邦題(しかも冠詞の使い方が変だったり)は丸めて捨てたくなるし、そういう意味ではがんばってる邦題だと思うけれど、ちょっとイカガナモノカと思ったなり。
すっきりする映画ではないけれど、もう一度初めから見たらどんな印象を受けるだろう、と思う。あと、友だちと感想について語りあいたくなる。
コメント
枯れっぷりを楽しめるなら非常におすすめです。
けっして、見終わったあと気分爽快!になる映画ではないので
念のため……。
でもおもしろかったですけどね!