価値観が多元化した社会で感じる閉塞感。気遺いに満ちた「優しい人間関係」のなかで圏外化におびえる恐怖感。ケータイやネット、家庭から学校といった日常は、過剰な関係依存と排除で成り立っている。子どもたちにとって、現実を生き抜くための羅針盤、自己の拠り所である「キャラ」。この言葉をキーワードに現代社会の光と影を読み解き、「不気味な自分」と向きあうための処方箋を示す。
岩波ブックレットなので薄い本ではあるのですが、ちょっと時間をかけて読みました。
最近も中学生がいじめを苦に自殺するという痛ましい事件がありましたが、今の子どもたちの「いじめ」はどういうメカニズムで起きているのだろうと思って手に取りました。
子どもたちが「キャラ」として自分の居場所を確保する、という心性は、いまいち分かりにくいのですが、子どもたちの世界で起こっていることはオトナの社会でも起こっていることであって、自分の自尊感情を傷つけるものを排除しようという方向に進む危うさも、同じ根源から解き明かされていてナルホドナァと考えさせられました。
高校生の姪に、実際に学校で起こっていることについて話を聞こうとしても、こんなふうに整理して話してくれないので、「キャラって何?」と聞いても答えてもらえない…。
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