ウォールフラワー
2009年5月23日 読書記録第4紀(07.10~)
なぜこの本を読もうと思ったかというと、先日、アメリカ図書館協会が毎年発表している、「1年間で、図書館に置くのをやめろと抗議が来た児童書ベスト10」のリストに入っていたから。
ALA、「2008年に最も批判を受けた図書」を公表
http://current.ndl.go.jp/node/12619
Attempts to remove children’s book on male penguin couple parenting chick continue
http://www.ala.org/ala/newspresscenter/news/pressreleases2009/april2009/nlw08bbtopten.cfm
下のリストにはトップ10すべてが紹介されていて、批判された理由も載っています。
栄えあるトップ1のタンタンタンゴは仕方ないとして、ライラの冒険シリーズとかカイトランナー(映画も公開されてました。原作邦題は「君のためなら千回でも」)も入っているのでなんというかホモフォビアや宗教原理主義者の脳筋さ加減を笑うリストと思っております。
で、この本の批判理由は
Drugs, Homosexuality, Nudity, Offensive Language, Sexually Explicit, Suicide, Unsuited to Age Group
トップ10の中でも際立って批判理由の数が多い。というか、まあ、主に2番目の理由に引っかかって読んでみました(正直者)。
これは、自分の中のナイーブな部分に突き刺さる、傑作YA小説でした。
普通よりもちょっと感じやすくて不安定な心を持つチャーリーが、高校入学前日から、自分の心を自分が直接知らない「トモダチ」に宛てて手紙に書く。一方的に誰かに宛てて送る手紙で綴られる1年間の物語です。
ちなみにウォールフラワー、というのは、作中の主人公を評した言葉を引用すると、
「きみは観察する。そのことについて、なにも言わない。ただ、すべてを理解しているんだ」
ということであって、けっして日本語の、そして訳者が(多分誤解して)ルビを振っているような「壁の花」とイコールでは あ り ま せ ん 。
チャーリーは、内気なのではなくて、人と関われない、関わり方がわからない、パラノイアというか離人症というか、そのような心の病と正常との境目にたたずむ少年で、その彼が自分の不安定な心情を一人称で綴っているので、ちょっぴりアルジャーノンとか、最近も翻訳SFで自閉症の主人公一人称小説が出てましたが(未読)、それに近い雰囲気もあります。
ただ、彼の周囲の人たち――両親と兄姉、大切な友達、一人の教師――がとても理解があるまっとうな人たちなので、リアルではないかもしれないけれど、救われてます。
うがった読み方をすれば、「周囲の友達とうまく付き合えないけど、ケンカは強いし勉強も出来る、しかも”変わってる”ことにも理由がある、僕ってトクベツ」という中2病な人に受けるキャラクターなのかもしれませんが。
YA小説なので読みやすいしそれほど長くないし、休日出勤で埼玉の奥地まで往復した5時間で読みきりました。
ああ、堪能。
あ、そうそう、拒否理由その2は、主人公の友達にゲイがいる、というだけ(でもないけど)です。このゲイの友達とその彼氏がまた映画「同級生」っぽくってねぇ……。
ALA、「2008年に最も批判を受けた図書」を公表
http://current.ndl.go.jp/node/12619
Attempts to remove children’s book on male penguin couple parenting chick continue
http://www.ala.org/ala/newspresscenter/news/pressreleases2009/april2009/nlw08bbtopten.cfm
下のリストにはトップ10すべてが紹介されていて、批判された理由も載っています。
栄えあるトップ1のタンタンタンゴは仕方ないとして、ライラの冒険シリーズとかカイトランナー(映画も公開されてました。原作邦題は「君のためなら千回でも」)も入っているのでなんというかホモフォビアや宗教原理主義者の脳筋さ加減を笑うリストと思っております。
で、この本の批判理由は
Drugs, Homosexuality, Nudity, Offensive Language, Sexually Explicit, Suicide, Unsuited to Age Group
トップ10の中でも際立って批判理由の数が多い。というか、まあ、主に2番目の理由に引っかかって読んでみました(正直者)。
これは、自分の中のナイーブな部分に突き刺さる、傑作YA小説でした。
普通よりもちょっと感じやすくて不安定な心を持つチャーリーが、高校入学前日から、自分の心を自分が直接知らない「トモダチ」に宛てて手紙に書く。一方的に誰かに宛てて送る手紙で綴られる1年間の物語です。
ちなみにウォールフラワー、というのは、作中の主人公を評した言葉を引用すると、
「きみは観察する。そのことについて、なにも言わない。ただ、すべてを理解しているんだ」
ということであって、けっして日本語の、そして訳者が(多分誤解して)ルビを振っているような「壁の花」とイコールでは あ り ま せ ん 。
チャーリーは、内気なのではなくて、人と関われない、関わり方がわからない、パラノイアというか離人症というか、そのような心の病と正常との境目にたたずむ少年で、その彼が自分の不安定な心情を一人称で綴っているので、ちょっぴりアルジャーノンとか、最近も翻訳SFで自閉症の主人公一人称小説が出てましたが(未読)、それに近い雰囲気もあります。
ただ、彼の周囲の人たち――両親と兄姉、大切な友達、一人の教師――がとても理解があるまっとうな人たちなので、リアルではないかもしれないけれど、救われてます。
うがった読み方をすれば、「周囲の友達とうまく付き合えないけど、ケンカは強いし勉強も出来る、しかも”変わってる”ことにも理由がある、僕ってトクベツ」という中2病な人に受けるキャラクターなのかもしれませんが。
YA小説なので読みやすいしそれほど長くないし、休日出勤で埼玉の奥地まで往復した5時間で読みきりました。
ああ、堪能。
あ、そうそう、拒否理由その2は、主人公の友達にゲイがいる、というだけ(でもないけど)です。このゲイの友達とその彼氏がまた映画「同級生」っぽくってねぇ……。
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