『最後の書』を手にした者は全世界を支配できる。もし悪人の手に渡ったら、世界は破滅への道をたどるのだ。ただし、その本のページは空白で、選ばれし者しか読むことができない。―1450年代ドイツの章は、グーテンベルクなど歴史上の人物が登場、印刷術秘話も織り込まれる。現代のオックスフォードが舞台の章は、主人公ブレークが追跡者の影に怯えながらも、本の謎を解明していく。果たしてその謎とは―。


図書館を舞台にした、本を巡るファンタジーということで期待しつつ、ハードカバーの文庫落ちとはいえハードカバーの時点で噂を聞いていない、というのはいかがなものか……とやや疑いつつ読んでみました。

うーん……。
本好きには魅力的なガジェットはたくさん出てくるのだけれど、キャラ(と敢えて言わせてもらいます)に魅力が感じられない。主人公は勉強ができなくて自分に自信のない少年なのだけれど、その彼だけが、魔力を持つ本に「選ばれる」理由が伝わらないし、彼を取り囲む女性キャラはみんな嫌なヤツだし。誰が「敵」なのかわからないのはストーリー上必要とはいえ、それ故に、主人公が何と戦っているのか(もしくは、何が最終目標なのか)がすごく見えにくい。

あとがきを読むと、この本は著者のデビュー作らしい。オクスフォードで博士を取ったのに仕事がなくて貧しい生活を送りながら書いた小説--ってまったくどこかのハリーとかポッターとかで見たようなバックボーンだけれど、そのハリーの第1作を読んだときにも感じた、著者の”こんなわたしを認めない世間”に対する恨みつらみみたいなものがジンワリにじみ出てくるようなところがどうにもこうにも。
それでもどこかのポッターのように面白ければまだいいが。

ハリウッドで映画化が決まっているそうだけれど、そこまでコンテンツ不足しているのか、彼の国の映画産業は。
でも、この話、原作に忠実にしようなんて思わないで、魅力的なガジェットを使って映画のよさを活かした脚本に組み立てなおすと、意外と化けるかもしれない。

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