満天星
2008年9月25日 読書記録第4紀(07.10~)図書室司書として働く天涯孤独な江上喬には、ずっと心の支えにしてきた小説があった。その著者である君塚映司を、そうとは知らずに年上の友人として慕っていた喬は、ある夜、酔ったはずみで彼に抱かれてしまう。「初めて会ったときから、どんなことをしてもほしいと思った」――戸惑う喬に、これまでにない強引さで脅すように付き合うことを強要してくる君塚。やがて彼の真摯な優しさに身も心も惹かれるようになる喬だが、君塚の執着の秘密を知り――。
受が司書だというので読みました。
初めての作家さんでしたが、大当たりでした。
出だしの文章が、すでになにか光ってる。少々ブンガクっぽい、やや華美な表現ではあるものの、引き寄せられる印象的な始まりでした。
筋は、少し読み進めるとだいたい予想の付く王道パターンなのですが、王道ゆえに、王道な展開の部分は下手に引きずらずさらっと種明かしをして、それよりもそういう状況に陥ったときの気持ちを丁寧に書き込んでいるので、下手に書けばクサイだけのシーンにじーんとしてしまう。実力のある作家さんなのでしょう。
さらに、作者は図書館現場を知っている人じゃないかと思うくらい、ツボを心得た設定で感激。PFIで建てた図書館です(という表現ではないけれど)、なんてよほど勉強したか現場の人じゃないと書けないんじゃないか。図書館業務の中でレファレンスを重視してくれているので好感度大。図書館員募集情報サイトに至っては、いっとき自分もよくそこを覗いていたので爆笑してしまいました。
BLでなければ図書館好きの上司に読ませたい(笑)。
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