「ザ・ミステリ・コレクション」などと銘打っていますが、アメリカの有名なラブロマンス作家による作品。


これを読んでるってことは、私は死んだってことね―ある晩レオノーラの元に届いた一通のメール。発信者は数日前事故死した美貌の詐欺師メレディス。そこに残されていたのは、自殺したある女性と古い殺人事件へ繋がる謎のメッセージだった。手がかりは、霧が立ちこめる小さな入り江の大学町。無数のアンティークミラーが眠る大学内の館で臨時司書の職に就いたレオノーラは、同じ謎を追う男トーマスと共に危険な探偵稼業に乗りだすが…傑作ロマンティックミステリ。


ロマンスよりもむしろ「大学図書館司書」というところに引っかかって読んでみた。
一応主人公は「学術図書館司書」という肩書きだけれど、思いっきり読者の誤解を招きそう、というより前に翻訳者もアメリカの司書制度を分かってないだろうことが丸見えなのでちょい冷める。
自分の専門分野なのでエラそうに解説してみると、おそらく「学術図書館司書」というのはサブジェクト・ライブラリアンのことだろうと思われる。アメリカのライブラリアンというのは、大学で自分の専門分野(サブジェクト)を修めた上で、修士課程として司書の勉強をした人の資格であり、非常に優秀な人たちなのである。日本で言うところの普通の技術職としての司書はテクニカル・ライブラリアンであってこの資格は専門学校でも取れるらしい。
だから、主人公のレオノーラが真面目でお堅い人物とされているのは、修士様だからなのである。

とはいえ、その司書の知識をミステリの解決に活かしているかというとまったく関係なく話は進むのでちょっと肩透かし。
でも、ロマンティックミステリとしては、ちゃんと最後にどんでん返しもあり(ちょっと強引だったとはいえ、あの人が出てくるとは思いませんでした)、がんばってる方ではないかと。

出てくる妙齢の男女みんながみんな誰かしらとカップルになっちゃうのはどうかと思うけど。

それにしても、前にも別の作家の話で家の改築好きヒーローが出てきていたし、これはアメリカの女性が相手に求める要素のひとつなのかしら? そりゃダンナがタダで(しかも喜んで)家をステキにリフォームしてくれたら女性としてはうれしいよな(苦笑)。

ISBN:4576051938 文庫 ジェイン・アン・クレンツ 西 和美 二見書房 2005/12 ¥870

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