今さらながらに、1995年発表の国際謀略小説を読んだ。
高村薫や五條瑛を読む人は必ずといっていいほど通っているはずの服部真澄を、実はエッセイ「骨董市で家を買う」以外読んでいなかった。

いや、もっと重苦しい話かと思ったら、存外読みやすいので驚いた。どいつもこいつも密約の内容を思わせぶりにはっきり言わないところとか、あと読点の多いところとかはこなれていない感があるけれど、ストーリーテリングはすごい。

でもやはり12年前の作品。当時は中国の隆盛は望ましいものであったけれど、現在は、公害問題や環境破壊とか、世界的なエネルギーの流通の変動と価格の高騰とか、中国(の市場)に対する印象はがらりと変わってしまった。コンピュータ周りの技術の描写についても、現代を描いた小説の古びるスピードは速すぎる……。

ISBN:4101341311 文庫 服部 真澄 新潮社 2001/01 ¥900

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