なぜか密林でヒットしなかった、映画「王の男」のノベライズ。
普段は、映画の原作小説は読んでも、ノベライズは映画製作者の真の意図を他人が文字化するのは不可能だろうと、読もうと思ったことはなかったのですが、映画の感想をネットでつらつら眺めていたら、
「無口なコンギル(女形役のほう)の心理を丁寧に描写してあってわかりやすかった」といって小説版をお薦めしていたので、気になって読んでみた。

ちなみに、編訳、とあったので翻訳者が台本を訳して地の文を書き足したのかと思われます。セリフ部分はほぼ忠実に映画の字幕通りでした。
で、なぜか、同人誌の小説を読んでいるような気がしてなりませんでした……。
別に腐臭(比喩)が漂っていたわけではなく、映画の画面に出てくる情景を忠実に文字に起こしているものの、全体のストーリーの中での個々のシーンに軽重がないというか。映画を観た後だと、あるシーンの全体での意味はこうだから、だったらこの部分を強調しなきゃとか、こういう印象を観客にもたせるためのシーンなんだから、小説でもその印象を持たせるように書かなきゃならないような部分が、まったくニュートラルに描写されていたりとか。
なんかちょっともどかしい気がしました。

あ、特に同人誌っぽいなぁと思ったのは、同じパラグラフのなかで視点がいろいろな人物にシフトするところかも。

まあ、映画のノベライズなんてそんなものか。

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