フル・モンティ
2006年12月2日 映画鑑賞記録第2紀(05.12〜)イギリス北部の町シェフィールド。6か月も失業していた絶望的な金欠男6人が、なんと「裸で金を稼ぐ」ことを思いつく。「フル・モンティ(すっぽんぽん)」で明るい未来をつかむことは、果たして可能か…? 息子から「少しは父親らしくしたら?」と諭されるパツイチ・パパ。ベッドでアレができなくなったと落ち込んでいる太りすぎ男。…
「さびれた田舎町(炭鉱の町だとなお可)の失業者(もしくは経済的困難に直面している人たち)が一念発起・一致団結してなにがしかの成功を収める」内容の映画のハシリ?同カテゴリとして、「ブラス!」とか「キンキー・ブーツ」とか「フラガール」なんかが入るのかな。
鉄工所が閉鎖されて失業した中年男性たちがそれぞれの理由から(でもメインは金欠から)男性ストリップグループを結成する話。っていまさら紹介する必要もないか。
面白い話、ってのは、実はすでに何通りかのパターンが決まってるんだと思う。たとえば「シンデレラ・ストーリー」とかね。「貴種流離譚」もそうだし。きっと、物語の構造論みたいな研究で世界各国の神話や昔話が同じようなパターンに分類されるようなものなんだろう。
(後から考えたら、この話のパターンって要するに「友情・努力・勝利」(週刊ジャンプのテーマ)じゃないですか。)
この話の大筋も、結局はある勝ちパターンを踏襲している(語りなおしている)んだろうな。でも、新たな創り手の仕事は、そのパターンをどういう目新しいシチュエーションに置くか、というところに腕の見せ所があるのであって、この話の場合はずばり「男性ストリップ」。いやもう、それを思いついただけで勝ったも同然。非常に面白い映画でした。
もちろん発想だけではなくて脚本も無駄をそぎ落としているし。一番感心したのは、メンバーの一人のお母さんが心臓発作で突然亡くなってしまうエピソードだな。亡くなったことは伝聞でしか観客に伝えられず、いきなりお葬式シーンなのだけれど、その(ある意味ブラックな/笑)理由がギリギリまでそぎ落として描写されてて、観客は描かれなかったシーンを想像して笑っちゃうという。うまいなぁ。
上手いといえばその亡くなる原因になったと思われる部分の描写もすごい。恋に落ちる過程をほんの短いシーンで観客に納得させ、しかもたった一つのありがちな台詞がそれまでなんでもなかった二人の感情をガラリと変えさせるのにすごい効果的で、ああいう台詞を選べる脚本家ってホントすごいと思います。
……本筋とはまったく関係ないこのシーンを取り立ててほめるのは、わたしが腐女子だからではありません(汗)。
腐女子的観点から言ったら「息子オトコマエ! パパや▲ちゃ受?」でしょう(笑)。
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