リヨンの修道院から、一角獣を描いた古いタペストリーが発見された。パリのクリュニー美術館に収められた中世美術の最高傑作“一角獣と貴婦人”シリーズの6点のタペストリーに連なるものなのか?その謎を解明しようと、学芸員のアレックスが奔走する。タペストリーに秘められた中世の悲恋をめぐるミステリー・ロマンス。


こういう、過去のロマンスを探りつつ、現在のロマンスが進行する、っていう話はそそられます。バイアットの「抱擁」(新潮文庫)なんかもろツボです。
「抱擁」はロマンス小説のパロディで、ロマンス小説家に受けがいいのか、この前に読んだ「きみがぼくを見つけた日」のところどころに引用されてました。
それはさておき。
こちらの話のモチーフになっている、「一角獣と貴婦人」シリーズのタペストリーは、偶然、前にNHKでやってた特集番組を見たことがあったので興味をそそられました。
が、それ以外はロマンス小説の基本を忠実に押さえただけでちょっと肩すかし気味かなぁ、、、、。

ひとつ興味深かったのは、登場人物がほとんど女性ばかりだってこと。主人公の片方の男性と、思わせぶりな老人以外は話に出てくるかほんのチョイ役だけ。主人公の片方の男性も「儚げでセクシー」なんて言われてて、著者はマッチョなものに嫌悪を抱いているのかとさえ思うほど、見事に女の園でした。
まるで、BLの裏焼きのようだわ。

(以下ネタバレ)





当然出てきたタペストリーは修道女たちの贋作だと期待していたよ(苦笑)。
メトロポリタン美術館のキュレーターも、元学友の鑑定家も、主人公の障害となるには小物すぎ。
恋のライバルは簡単に身を引きすぎ。
なにか企んでそうな人たちはみんな主人公の考えすぎ。
むむむ。

ISBN:4167705230 文庫 ケリー・ジョーンズ 文藝春秋 2006/05 ¥1,000

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