……しばらくここを書かなさそう、などと言ったのはつい一昨々日のことなのに、すでに読み終わってしまいましたさ(泣笑)。
1巻を3日、2巻を2日、そして3巻は昨晩布団に入ってから読み始め、今日新宿までの往復と途中昼食を取りがてら読み続け、帰宅してからさらに1時間かけて読み終わってしまった。ああ〜。

中世イギリスを舞台にした、半世紀に渡る怒濤の波瀾万丈大河ドラマ版「大聖堂が出来るまで」。
この話も、「ひと言で内容を言い表せる」話ではありますが、それを彩る様々な要素が重層的に絡まり合って話を魅力的にしています。

ひとつは、カドフェルシリーズの背景でもある、12世紀のスティーブン王と女帝モードとの王位争いの発端となった、先王ヘンリーの王位継承者だった王子の海難事故に始まり、歴史でも習ったカンタベリ大司教トマス・ベケットの殉教にいたるまでのイギリス歴史小説としての要素。
さらに、その海難事故で生き残ったらしい男が、どうやら無実の罪で処刑されたらしい、という導入部から、なぜ謀殺されたのか、のミステリ要素。
さらに、修道院や領地を繁栄させるにはどうするか、のシュミレーション小説的な部分や、教会組織の在りようを知ることができるのもおもしろい。
でも一番面白いのはやっぱり魅力的な登場人物たちでしょう。
一人一人のキャラ立ちがはっきりしているし、それぞれの人物に強みと弱みがちゃんと設定されていて、挫折と成功のエピソードが矛盾なく配されている。
さらに、だれもがいい部分と悪い部分を併せ持っていて、いい人グループのなかにも愚かなことをする人がいるし、敵対グループの行動原理にも共感できるところがあったりする。そして、こちらのいい人の取った行動が、巡り巡って違ういい人の人生を狂わせたり、勝ちそうなグループがほんのちょっとした出来事で形勢逆転したり、次に何が起こるのか気になってページを繰る手を止めさせません。

そしてやっぱり最後は大団円。このカタルシスがなくっちゃね!

それこそ10年ぶりくらいの再読なんですが、読み始めはすっかり内容うろ覚えだったのにも関わらず、ちょっと読み出すと次にどうなるのかがどんどん思い出されて、まるで江戸城大広間の襖が目の前で次々開いていくような感じ(笑)。

ほんっと、面白いよなぁ。

ISBN:4797332581 文庫 ケン・フォレット ソフトバンク クリエイティブ 2005/12/17 ¥900

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