東電OL殺人事件
2005年8月23日 読書記録第2紀(05.08〜)1997年3月8日深夜、渋谷区円山町で、女性が何者かによって絞殺された。被害者渡辺泰子が、昼間は東電のエリートOL、夜は娼婦という2つの顔を持っていたことがわかると、マスコミは取材に奔走した。逮捕されたのは、ネパール人のゴビンダ・プラサド・マイナリ。娼婦としての彼女が、最後に性交渉した「客」であった。
ずいぶん前にハードカバーのほうを友達に借りて読んでいたんだけれど、通勤に持ち歩くのが大変でなかなか読み進まず、結局途中までで返してしまった。文庫も出たなぁと気にしていながら、ようやく手に取ったらもう文庫化からも2年経っていたのね。
マスコミはセンセーショナルな面を強調しすぎるし、さらに自分が積極的に関心を持ってみていなかったから、この事件のタイムリーな報道を見ていた記憶はほとんどない。それでも、聞きかじった情報から自分が抱いていた印象と、この本の内容とはひどくかけ離れていて驚いた。また、著者が何度も現場に足を運び、いろいろな関係者から直接話を聞いたこのドキュメンタリーは、大変読みでがある。
ただ、はじめから著者は逮捕されたネパール人を無罪だと感じていて、終始免罪という視線で書いているから、つい信じてしまうけれど、この本だけから判断しちゃあイカンよなあと自戒。著者が、円山町という場所に対してかなり叙情的なところが、繰り返されるので読み手としては一歩引いてしまう。
この事件も、結局警察の初動捜査の誤りで重要な証拠が無視されたり廃棄されたりして、真実はわからないままになってしまうのかしら。
ISBN:4101316333 文庫 佐野 真一 新潮社 2003/08 ¥740
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