しばらく前に買って数ページ読んだきりになっていた本。
書き手の個性が前面にでていて、読みやすい本だった。考古学というと土器とか木簡などを思い出すけれど、この著者は発掘される元・生き物(植物とか貝塚の骨とか排泄物とか)から文字にされていない歴史を読み解く。
家畜化された生き物は野生よりも小型化し骨にも奇形が増えることから、いつごろから家畜を飼い始め、つまりは食生活が変わったか、なんていう話はおもしろかった。
また、海外の事例紹介として「戦跡考古学」なるものが紹介されていたのはとても興味深かった。アメリカでの原住民と白人との戦闘で、戦跡に落ちている薬莢を発掘し、どこでどれだけ発砲されたかを地図に落とし込んで、線条痕から同一の銃から発砲された銃弾も特定して、どのような戦況だったかまで明らかにしていくなんて、まるで現代の犯罪捜査のようでもあってスリリング。
と思ったら、同じ手法を使ってクロアチアの虐殺やアウシュビッツなども研究されているそうで、まさしく現代の国際犯罪の捜査ともいえる。

ISBN:4004309301 新書 松井 章 岩波書店 2005/01 ¥777

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