続けてロマンス小説。19世紀イギリスを舞台とした、いわゆるヒストリカルロマン。
ヒーローの造型やヒロインの造型が、どうもどこかで見たことのあるキャラクタの拙劣な焼き直しに見えなくもないし、ヒストリカルといってもいわゆる「歴史物」ではなくてなんというかマンガチックなコスチューム・プレイなんだけれど、基本は押さえていて楽しく読めました。

それにしても。
先日読了した「眠れる美女のあやまち」(原題:The Awakening)といい、この「エメラルドグリーンの誘惑」(原題:Seduction)といい、日本語のタイトル訳のセンスをどう言ったものか……(嘆息)。
キラキラしい単語を連ねながら、捻りのなさがこう安っぽい「ロマンス小説っぽさ」を醸していて他と隔絶しているこのセンスこそがロマンス小説らしさなのかしら。
対して、原題の方も、偶然1単語のみのタイトルが重なっただけかも、と思ったものの、以前読んで大変面白かった、イギリス女性の知性・バイアット女史がロマンス小説のパロディとして書いて映画化もされた作品「抱擁」(原題:Possession)と引き比べると、英語圏におけるロマンス小説のタイトルは1単語だけ、ってのがトレンドなのかもしれない。
とすると、この「抱擁」という翻訳タイトルはバイアットの意図を正しく汲んでいないをいわざるをえないでしょう。もっとこう「魅せられて」とか「秘められた恋の形見」とかいった(ああ!ロマンス小説的センスない!!)、手に取る前にストーリーの予想がつくようなダッサいタイトルをつけなきゃ!

ISBN:4789718999 文庫 アマンダ・クイック ソニーマガジンズ 2002/08 ¥840

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