わたしの愛するタイムスリップ・ラブロマンス「時の彼方の恋人」(新潮文庫)の著者による、モンゴメリ一族シリーズの1冊。20世紀初頭のカリフォルニアで実際にあった労働争議を下敷きにした、大農家の箱入り(というにはスポイルされすぎた)娘と、農場の季節労働者に平和的な労働組合を組織させようとする経済学教授とのラブロマンス。
細部の記述が活き活きしていてぐいぐい話を引っ張る力もあるのですんなり読めて楽しかったけれど、冷静に考えるとなんというか……。カーレースにも出場する自由奔放な学者が、どうも行動に首尾一貫性がなく、それほどいい男に思えなかった。ヒロインをスポイルしている厳格な家庭教師であり婚約者でもある男は、悪役であるはずなのに同情の余地がある過去を与えてしまったために、煮え切らないって言うか。実はかなり最後に近くなるまで、「もしかして、家庭教師が改心してヒロインが元の鞘に戻るという結末では?!」という疑いをぬぐい去ることができなかった……。
一番魅力的だったのは、ヒロインの母親かな。若く美しく、物わかりもよく、才能も溢れた素敵なお母様です(笑)。

9割楽しめたのにあとの1割の物足りなさを埋めたい衝動に駆られて、ついまたロマンス小説を買ってきてしまった……。
外れくじを引く方が多いジャンルだからかなりギャンブルですが。

ISBN:4789723305 文庫 ジュード・デヴロー ソニーマガジンズ 2004/08 ¥840

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