センスある日本語表現のために―語感とは何か
2005年1月25日 読書記録(04.02〜)「語感」ほど、誰もが確信を持ちながら、逆に普偏的な説明の困難な言葉も珍しい。感覚的な言語論を超えた語感の整理・分析は、いかに行なわれ得るのか。本書は、言語行動の三つの要素、つまり、表現主体である人間、評現対象である物事、そして表現手段であることばから語感を分類し、さらに、語彙体系の影響、言語的環境のバランス、語の用法や使用頻度などにも言及しながら、豊かな言語生活を楽しむヒントを提供するものである。(amazon.jpより)
たとえば「しとやか」という言葉の意味は、「動作が落ち着いていて上品なさま」(広辞苑第4版)だけれど、「しとやかな女性」とは言っても「しとやかな男性」というのはちょっとおかしい。女ならいいのかというと、「しとやかな少女」はまだよくても「しとやかな幼女」は変だろう。ということは、「しとやか」という言葉には、ある一定以上の年齢の女性を指すという、定義されない雰囲気をまとっている。その雰囲気を「語感」という。
で、著者が語感について思いついた実例をメモのように列記したのがこの本。一つ一つの言葉についてその語感を改めて意識すると、気づかなかった雰囲気や類語の差などに意識がいって、おもしろい。けれど、一冊の本としては、一応「語感」を上記内容紹介のように分類しているものの、やや曖昧だったり重複している言葉があったりしてわかりにくく、ただの羅列のように見えなくもない。
でもその辺のはっきりした分類は今後の研究を待つ、ということのようだ。
ISBN:4121011996 新書 中村 明 中央公論社 1994/08 ¥714
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