自衛隊のイージス艦が反乱を起こす話、とだけは聞いていたので、「沈黙の艦隊みたいなもの?」と思っていましたが、想像していたよりいろいろな要素の絡まり合った重厚な話でした。

主人公は3人。
悲惨な生活から他人へ心を閉ざし、とうとう父親を殺してしまったものの、逮捕される前に特殊機関に保護されて工作員として訓練された少年。
叩き上げの艦船乗りだけれど、妻に離婚を言い渡された男。
情報機関に機密保全のため、北朝鮮の工作員と接触した息子を殺された自衛隊の艦長。

この3人がどういう役回りを演じていくかはネタばれになるので言えませんが、この人たちだけでなく、脇役の一人一人が人生と個性をもって描かれているところが魅力的。反乱したイージス艦を制圧する指示を待ってただ待機するだけの人にまであたたかい視線が注がれていて、それがこの話の重厚さと、上下巻計1000ページ超の話(しかも下巻はほぼ1日の話)を飽きさせずに読ませる理由になっていると思う。
いやもう、すごいです。

が。
これって映画化企画が進行しているそうで、もうキャストも発表されているそうですが。
……この話、2時間にまとめるのはムリだろう?

ISBN:4062734931 文庫 福井 晴敏 講談社 2002/07 ¥730

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