(映画)「ラスト・サムライ」
南北戦争を下士官として闘い、心に傷を負った男が、明治政府の軍隊育成のためのお雇い外国人として日本へ渡る。けれども、そこで反乱軍の鎮圧中に捉えられ捕虜となる。そこで、首領の勝元の侍としての生き様に触れて、反乱軍に肩入れするようになるが、勝元への官軍の討伐隊が迫ってくるのだった……。
というような話。期待せずに見に行ったのですが、基本的にはおもしろかったです。
歴史物ではなくて、時代劇だと思えば、練られた時代考証は多少のヘンなところを多めに見られるほどちゃんとしていたと思います。渡辺謙・真田広之ら殺陣がかっこいい。作り手が、殺陣の何がカッコイイのかをわかって作っているのが感じられました。何より、トム・クルーズがとっても楽しげに殺陣を演じていたので、見ていて気持ちよかったです。ああ、これって、トム・クルーズがチャンバラやりたくて作った映画なのね〜、と思った次第。
ロード・オブ・ザ・リングもそうだけど、作り手がシュミで楽しんで作ってるのが伝わってくる映画って、見ていて楽しいです。
脚本は、ハリウッド手法で構成がきちんとして盛り上げ方がツボを心得ていてまたよし。ただ、ひとつ残念だったのは、主役の勝元が反逆する理由や目的が明確でなかったこと。天皇を中心とした、大村(明治政府の高官で、開国によって私腹を肥やす人)と勝元(天皇の元教育役で元老院のメンバー)の対立軸を、最初の方でもっとはっきり打ち出しておけば感情移入しやすかったかも。
個々の場面の演出は日本人の心にフィットする細やかさで、景色もうつくしい。(重要なモチーフである桜がソメイヨシノでなかったのは気になったけど)
あとは、この日本的美意識がどれだけ外国人に理解されるかがちょっと気になる。公開時期も時期なので、アカデミー賞も視野に入っているだろうけど、日本がイラク派兵を渋り続けたら、案外取れるかも(<うがった見方を……)。
――でも、わたし、トム・クルーズはこの映画を作れただけでうれしかったと思うな〜。


そして、映画の行き帰りに以下の本を読了。
■(読了)「弟の戦争」ロバート・ウェストール、徳間書店
トムの弟フィギスは、人の気持ちを読みとる不思議な力を持っている。だが、湾岸戦争が始まったころ、突然「自分はイラク軍の少年兵だ」と言い出す。弟を見守るトムは、テレビで見るのではない湾岸戦争と深く向き合うことになる。
戦争ってなんだ。ということを、自分の身に引きつけて考えさせられる名作。弟がどうなってしまうのか、ハラハラしながら一気読みしてしまった。最後は、一応ハッピーエンドなんだけど、現代ニッポンのような、平和な中にも目に見えない不安を抱えたハッピー、みたいで、それはそれで考えさせられる。
そう、こんなに素晴らしい児童文学だというのに、すすす、スミマセン、10年後のトム(主人公)×ラシード先生(弟の担当医)で妄想爆発してしまったワタシを許して……。

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