■(読了)「時の旅人」アリスン・アトリー、岩波少年文庫
イギリスの古い荘園屋敷に暮らす大伯父・大伯母のもとを訪れたペネロピーは、この屋敷に三百年前に暮らしていた人々の時代を訪れることができることを知った。そして、幽閉されていた女王・メアリ・スチュアートを逃がす計画を間近に目撃することとなる。
いわゆるタイムスリップもの。児童文学では古典。いい、いいと聞いていながら、今さらようやく読みました。
タイムスリップものはたいてい面白い。まず、過去に起こる悲劇を主人公はあらかじめ知っていて、それは回避しようがないのになんとかしようとするのは、タイムリミットもののおもしろさに通じるだろう。そして、主人公が本来の世界を諦めないかぎり、過去の人々との永遠の別れは必然的に想定されていて、そこに悲恋の要素も加わってくる。
そしてなにより、過去という異世界の人々とのファースト・コンタクトものとしてのおもしろさもある。とくに、いまの自分たちの生活に繋がる過去の世界の事物――食べ物や風俗――を知るのは歴史物のおもしろさだろう。
これらの要素が、児童文学なのにこの話にはきちんと盛り込まれていて、やっぱり古典ってのはいいよなぁと思う。とくにこの話のいいところは、当時の食べ物やハーブやもろもろの生活が事細かに描写されていること。お腹が空いているときに読んでいたら、食欲増進されて困っちゃいました(笑)。
……これが、初めて出会うタイムスリップものだったら、すごくハマっていただろうなぁ。だから、やっぱりわたしのタイムスリップものベストは「時の彼方の恋人」なのだった。


この本は先週半ばに読み終わっていて、続けて「雀の猫まくら」のハワイ旅行の部分だけを拾い読みし、いきなり「ハワイイ紀行」へ突入。文庫本で500ページを超える分厚さなんですがこれがまたおもしろいんだ。さすが池澤夏樹。

で、結局先々週図書館から借りてきた5冊のうち3冊を読み終わって、図書館へ返却。読んでなかったのを延長するのを忘れて返してしまって、以下の3冊を新たに借りる。

△(図書館)「カイマナヒラの家」池澤夏樹、ホーム社(発売・集英社)、2001
ホノルルに実在した家を舞台にした短編小説集。
△(図書館)「七人のおば」パット・マガー、創元推理文庫、1986
Y新聞の土曜の夕刊に、北村薫が若者向けのミステリ読書案内を連載していて、この古典的名作についても先日紹介があった。で、気になって借りてみた。
△(図書館)「心やさしく」ロバート・コーミア、徳間書店、2002
ブレード・ランナーについての話を読んだところだったので、ジーターの書いた(映画の)続編の3を探していたんですけど、それを見つけたもののこっちも目に入ってしまって驚いた。コーミアの新作が出てたなんて知らなかったよ!
というわけで慌てて借りる。

そして、写真がたくさんで字も大きくて、文章量が非常に少ない「カイマナヒラの家」をぱらぱら見ているうちに読了してしまった。
池澤夏樹って、文章が洗練されていて読んでいて気持ちがいい。うつくしい日本語だよなぁ。短すぎて物足りなかったけど。

というわけで、継続して「ハワイイ紀行」を読書中。

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