■(読了)「Flesh & Blood」(4)、松岡なつき、キャラ文庫
松岡なつきは、職人技的にうまい。話の骨格であるソレ系部分は基本を踏襲し、肉付けである専門知識を説教くさくなく盛り込んで読み手に新しい知識を得たというお得感を感じさせる。
ソツなく、隙なく、嫌味のない話をコンスタントに生産しつづけるのって、すごいよな。

■(読了)「三千世界の鴉を殺し(7)」津守時生、ウィングス文庫
またゼンゼン話が進まないうちに1冊終わってしまった。小ネタをつぎつぎ繰り出す技は秀逸で、本来なら、大きな話も書ける作家なんだから、もう少し大きな話を動かしてくれ〜(涙)。
とはいえ、最近のオタクってのは東浩紀「動物化するポスト・モダン」(講談社現代新書)によれば、データベース型萌え、っていうか、元ネタ作品を要素に切り分けて、そこから自分の好みで勝手に組み合わせて萌える、という萌え方をするらしい。(出典が手元になくて記憶で語っているので、正確なところは原典参照のこと。わたしが勘違いしているかもしれない)
とすると、作家によって作品全体を通して隠された大きな物語は、最近の読み手には求められていないのかも知れない。とすれば、こういう小ネタ続きの話の作り方もおっけー、ということか?
昔読者にはサビシイ話ではある……。

それから、DVDを返却しにいったついでにまた借りてきてしまった。
■「ナインスゲート」(ポランスキー監督、ジョニー・デップ主演)
悪辣な古書商コルソ(ジョニデ)が、世界に3冊しか残っていないという悪魔召喚の書の1冊を持っている教授から、本の真贋鑑定を依頼される。残りの2冊の所有者を訪ねるうちに、オカルトの世界に足を踏み込んでいく、という話。

ジョニデ目当てで借りたのですが、監督がポランスキーだなんて、というか「赤い航路」の監督だったなんて知らなかったよ(無知)。
古書好きには映画の雰囲気とジョニデだけで嬉しい映画。本を探して謎解きをするという筋はRPGみたいと言われればそうだけど、そういうパターンにはまった筋運びは嫌いじゃない。

でも、見終わってからネットで感想を見てみたら、あんまり評価は高くないみたい。たしかに、「ローズマリーの赤ちゃん」「赤い航路」よりはインパクトは少なかったかな。あと、同じ悪魔ものの「エンゼル・ハート」を思いだした人が多かったみたいだけど、やっぱりエンゼル・ハートのラストのインパクトと比べると、尻すぼみ感は否めないかな。
わたしはわりとおもしろかったんだけど。


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