「17歳という病」

2002年10月18日
■(読了)「17歳という病」春日武彦、文春新書、2002
些細なものごとがいきなり黄金に変わったり、毒の結晶へと変化しかねない不安定な季節は、おそらく青春といった特異な時期の他にはないだろう。自分が子供であった頃や若者であった頃を想起しつつ、その記憶から普遍的なものを引き出してみたいといった願いを抱いて、わたしは本書を著した。(カバー袖書きより)
この著者は、どうしてこんなに鮮やかに、思春期に自分が考えていたことを記憶しているんだろう、と、感心しながら読んだ。たしかに、自分を御しきれなかった思春期の頃、こんな風に感じていた、という共感でいっぱいになる。
が、それも5章立てのうち4章まで。ちょっと待ってよ。どうして5章でいきなり現代の若者批判になってしまうんだ。この袖書きを読んだら、そうした自分の思春期の経験から、とかくわからないと言われる現代の思春期の若者のなかにも普遍的なものを見いだそうとしているんじゃないかと思いませんか?!
しかも、そうした現代の若者を読み解いている他の論者をけちょんけちょんにけなしているんですが、それが、この前まで読んでいた三浦展が以前書いていたらしい「マイホームレス・チャイルド」(クラブハウス刊)という本と、先日感想を書いたばかりの影山任佐「自己を失った少年たち―自己確認型犯罪を読む」だよ(汗)。
たしかにこの二人の文章はわかりにくかったところもあるけど、でも、なんだか最後に裏切られた気分は否めないなあ。
とはいえ、4章までは「あのころ」を思い出すのに最適でした。

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