■(読了)「不器用な愛」風間一輝、角川文庫
ハードボイルド短編集。
背中がモゾモゾしてくるような、典型的ハードボイルド。人称はすべて一人称(おれ、わたし等)、しばしば体言止め、酒と趣味へのウンチク多数。うむむ。
でも、「漂流者(ながれもの)」で惚れた、国分組長がピアノをご披露してくれた「雨垂れ」で大満足でしたのでもう何も言わない。インテリヤクザらぶ〜♪
そのほか、詐欺師の連作や、「夜行列車」などはなんだかいい感じでした。


その他、5/31「ハンサムは嫌い。」に絡んで、思うことなど。
榎田尤利の作品には、脇役に個性的で前向きなマイノリティがよく出てくるんですが、今回は、昼間はサラリーマン、夜はドラァグクイーンのエメラルド珠子さんというキャラが出てきました。
わたしの前のカイシャの後輩に、ドラァグクイーンをやっている自称OL(職場ではカミングアウト済)がいたのですが、「笑われることが快感」という彼らの(苦悩を乗り越えた)前向きなエネルギーは、エメラルド珠子さんにもよく出ていてよかったと思う。だから、彼らのキーワードCAMPにも触れられているとさらにリアリティが増したかな、とか。

[6/7追記]でも、もちろん、リアルに書くことが小説の(とくにBL小説の)目的ではないので、著者が、小説の筋に不用だと判断してわざと触れなかったのだったら、その選択はアリだと思う。

んでもって蛇足ですが、職場内での彼の受け止められ方は、男性からはその部分については距離をおいて容認、女性からは同類としてお友だち扱いと、反発が半々。そして、同じくカミングアウトしていたゲイの先輩からは毛嫌いされていたことをメモしておきましょう。
ちなみに、反発していた女性の先輩いわく、「あの子は、女性らしさを誇張して笑いの種にしているのが許せない」。女性の社会進出・男女雇用機会均等法の先陣を切っていた人たちには、また思うところがあるのでしょう。
わたしは、といえば、彼にはとっても女の子っぽい部分もあるけれど、本当に基本的な部分で、自分とは違う、男性的なものがあるなあと感じてます。だから、「彼女」とは呼べない。いまだに、たまに飲みに誘われたりしますけど。

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