■(読了)「永遠の森 博物館惑星」菅浩江、早川書房
星雲賞と日本推理作家協会賞をダブル受賞した連作短編集。
宇宙空間に浮かぶ博物館で働く、巨大なデータベースと脳内接続した学芸員が、「美」の探求にまつわるさまざまな出来事にかかわっていく話。
博物館と、学芸員の脳内接続のイメージが美しく、収蔵場所に苦労している現実の博物館にとってはまさに理想郷をSFで描いている。短編の一つ一つで、鑑定品にまつわる謎が提示されて、それの解決とともに人の想いも伝わってくるあたりはミステリ的なおもしろさもある。
が。実は前評判が高すぎて、勝手に脳内イメージを抱いて読み始めてしまったので、そのギャップが邪魔して素直に入り込めなかった。あああ悔しい。なんというか、もっと桃源郷っぽいイメージの書かれ方をしているのかと思ってましたので,それにしては組織のしがらみとか人間くささも書かれていて、でもそれならもうちょっとミステリ的な人間の描かれ方をされたほうが読み手としてのわたしの腰も落ち着いたかな、とか。
最初に気になったときに気軽に手にとっておけばよかった……。

■(読了)「On Your Mark」竹美家らら、バーズコミックス・ルチルセレクション(幻冬舎)
デビュー作以降の短編集。
このマンガ家は、作品テーマの周辺をいろいろほのめかして書くので、16ページ程度の短編ではどうも消化不良な感じが出てきてしまうかも。短編でも連作だと、全体を通してぼんやりと浮かび上がってくるものがあっていい雰囲気なんですが、こう、細切れの話を立て続けに読むとちょっと物足りなさが。あうあう。

△(購入)「疫病神」黒川博行、新潮文庫
△(購入)「On Your Marc」竹美家らら、バーズコミックス・ルチルセレクション(幻冬舎)

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